朧月夜と春の海

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『リンバロストの乙女』(下巻)

平成2年12月10日  著者 ジェーン・ポーター  訳 村岡 花子

「夫の死の秘密を知ったエルノラの母は、今までのエルノラに対する行いを悔い、娘を愛する優しい母親に変身した。幸せに暮らす母娘の前に、ある日フィリップは現れた。苦労をして育ってきたエルノラに、フィリップの優しさは心地よく、次第にこの礼儀正しい青年に魅かれてゆく。しかし、フィリップには幼いころからの婚約者がいた。悲しい思いのうちに、エルノラは身を引こうとするが、意外なきっかけで、恋の糸がもつれあって・・・。」

 下巻も面白かったです。以前読んでいたためか、結末を知っているからか、上巻とあまりページ数は変わらないと思うのに、ずいぶんと短かったように思いました。相変わらず、お母さんの外見、内面の大変身っぷりにはびっくりするし、ビリーにはハラハラさせられるし、新しい登場人物も手強いし、でも、やっぱりエルノラの、この人とだったら結婚しても大丈夫かなと思える瞬間が一番興味深かったです。現実で、この人は幸せな結婚をしたんだろうなという人がいても、どういうプロポーズだったのか、聞いたら話してくれるかもしれないけれど、聞いたことはないし、あったとしても、その人にとっての大事な思い出でほかの人に語るようなことでもないだろうし、エルノラのように複雑な事情があるというよりは、もっとすんなり自然にそうなったという感じもするけれど、他人の入る領域ではないそういうエピソードをエルノラの話で読むことができて、そういう過程を通してのハッピーエンドは素敵だと思いました。それにしても、作者の現実の体験があってのストーリーなのだろうかと、そういうこともこの年齢になると考えたのでした。