朧月夜と春の海

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『伊勢神宮の暗号』

2009/7/21  著者 関 裕二   講談社
伊勢神宮といえば、天皇家の祖神・天照大神を祀る、天皇家のための神社という印象が強い。もちろんそのとおりなのだが、じかに参拝した天皇は、意外なほど少ない。伊勢神宮が整えられた7世紀から明治維新に至るまで、持統女帝と明治天皇のたった2人しか足を伸ばしていないのだから、これは異常な事態なのである。……いったい、伊勢神宮は、何を目的に造営されたのだろう。疑い出せばきりがない。『日本書紀』によれば、第10代崇神天皇は、天照大神を宮中で祀っていたが、「神威」に圧倒されたので、宮の外に遠ざけた、という。そして当初、三輪山山麓で祀られていた天照大神であったが、やがて東に移り、伊勢の地で祀られるようになったという。この話、どうにもひっかかる。天照大神は、本当に天皇家の祖神なのだろうか。――<「はじめに」より>」

 神社では、何か願い事をしたり、清浄な境内に良い気を感じたり、祀られている神様について考えたことはなかったのですが、自分に合う合わないなどという話を見聞きすると、歴史の跡でもあるのだなとも思います。

伊勢神宮はまだ行ったことがありません。それで、いろいろわかるかなと思って読みました。万葉集の時代に興味があるので、でも、歴史や政治や人物の名前がよくわかってないので流し読みです。

「なぜ、童女(大物忌・子良)たちが伊勢神宮の最も重要な祭事に関わりを持っているのかは、古くは童子が「鬼のように恐ろしい存在」と考えられてきたからで、童子と老翁は、生と死の境界線上に近い。童子は驚異的な生命力と成長を見せ、かたや老翁は、人並み外れた長寿を保っている。どちらも「普通の人間ではない」のであり、神のようなパワーを秘めたものと考えられたのである。古代人にとって神と鬼は表裏一体であった。老翁は神の、童子は鬼のイメージである。そこで童女・大物忌が心の御柱を祀る真の意味が分かってくる。「秘中の秘=心の御柱」とは「大人が祀ってもおとなしくなってくれない、恐ろしい神(鬼)」なのであり、その鬼のように恐ろしい神を鎮めることができるのは、童女以外には考えられないのである。伊勢神宮が祟る神であることなど信じられないかもしれない。伊勢神宮の成立の謎。」

・天日槍、「比売語曾を追って来日したツヌガアラシト」の話とそっくりな逸話がある。難波に行く。小舟に乗って日本に逃げてしまった乙女とは誰なんだろう。

・伊勢に祀られる神は、「祟る猿田彦大神(天日槍、武内宿禰)」ヤマトタケルであり、この神は出雲の神でもあった。しかし日本書紀によってヤマト建国の真相が伏せられてしまったために、伊勢の神の正体がわからなくなってしまったのである。

卑弥呼のことにも言及されていて、歴史ロマンというよりは、今に生き生きとよみがえり、昔も今も人間は、変わらないのかなと思ったりします。なので、大昔の話なのに、こんなことを書いて大丈夫なのかしら。出雲の神様のご加護がありますようにと思わず思ったのでした。

もしも行く機会があれば、それらのことも思いながら参拝したいです。