朧月夜と春の海

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『氷の女王が死んだ』

2002年4月26日 著者コリン・ホルト・ソーヤー 訳者中村有希 創元推理文庫

「 誰彼なしに顎で使い、お高くとまった言動は数知れず。嫌われ者を選ぶコンテストがあればぶっちぎりで優勝したに違いない。そんなエイミーが体操用の棍棒で撲殺された。容疑者満載――だが、誰がそこまでしたいと思ったろう。困惑する捜査陣を尻目に、アンジェラたちは再び探偵を開始する。ユーモア謎解き小説、待望第2弾! 解説=大津波悦子老人ホームを舞台にしたコージーミステリ〈海の上のカムデン騒動記〉」

  元気なおばあちゃんたちが探偵になって活躍する推理小説です。とはいっても、スーパーマンのような超人的な人間ではなく、かわいいイラストの老婦人二人が表紙に描かれていますが、『老人たちの生活と推理』という教科書のようなシリーズの別の題名の本があるように、現実に老齢期になったらこういう風なのかなということも 自然にわかります。海の上のカムデンでの引退後の生活です。
最近は、「バカ」という言葉の使い方について考える機会がいくつかあったのですが、アンジェラとキャレドニアの間には、お互いに対する信頼と堅い友情があり、そのうえでのそれまでのやり取りがあったうえでの、会話の一部に、「いいえ、そうよ!」アンジェラはぴしりと言い返した。「それでわたしのことを馬鹿って言うでしょ。すぐ馬鹿にするんだもの。いつも言ってるじゃない」「そんなの本気にしなけりゃいいんだわ!あんたは自分が馬鹿じゃないってちゃんと知ってるでしょうが!あたしが何言ったって、真に受けることないんだわ。だから、あたしが男子トイレに間違ってはいりそうになったり、よそ見して崖から踏み出そうとしてたらーーちゃんとそう言って!」という部分があり印象に残りました。
時々本を読んでいて、意外なつながりや偶然があるとき、私は本好き天使の読書委員会が出現したなと思うのですけれど、この本もそういうことがあって、なんと本の終わりにカタツムリとビールのエピソードがでてきたのでした。