2019年6月14日 ラッドウィンプス『ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019』
それから、忘れないうちに感想を。2019年6月14日のラッドウィンプス『ANTI ANTI GENERATION TOUR 2019』に行きました。もともと存在は知っていたけれど、まだ、頭に霞がかかったみたいにぼんやりしていて、映画『空海 KU-KAI 美しき王妃の謎』があると知り、空海の映画なら行かねばとかねてより思っていたので、見に行きました。それでエンディングで流れた主題歌を聴いていて、いい曲だなと相変わらずぼんやり見ている感じだったのが、突然ピントがあったみたいになって、それからいろいろ検索して他の曲も聞き始めました。
私は、原作は読んでなくて、でもその映画を見るしばらく前に、道で黒猫にあって写真を撮ったので、面白いなと思いました。
会場はアスティとくしまです。当日の午前中に徳島駅について、この日は動物園に行きます。しばらく前に、「四国ペタペタおペン路めぐり」ペンギンのいる四国の水族館や動物園で御朱印集めというイベントをしているのを知り、面白そうだなと思っていってみました。
バスに乗って、動物園に到着です。鮮やかな鳥や、ドラマで登場人物の例えで出てきたミーアキャットや、珍しいオオカミに会えました。
類人猿のスペースは、礼儀正しく通ります。リスざるの場所では中に入れて、身近にみられます。
ペンギンの場所では、来園者は少ない日だったからか、少し寒いからか、こちらを見て水に飛び込みそうな気配はあったものの、結局、今日は水に入りたくないなという気配のまま、岸にいました。
『おペン路』はしていなかったのか、わからず、集めることはできなかったけれど、かわいかったです。
この日の天気は雲行きが怪しかったのですが、雨はまだ降っておらず、動物園から出て、バスの来る時間まで、また時間があるから、植物を見て回るコースを歩いていこうか、それともあるけるだけ歩いてみようかと、いったりきたり迷っているうちに、雨が降って、東屋で雨宿りをしていました。
そのうちどんどん豪雨になってきて、雨具を着ていても横殴りの雨でびしょぬれになりそうだったので、そばにある電話ボックスにはいらせてもらいました。あまりの豪雨なので、下の隙間からも水しぶきがはいってきます。
無謀にも歩いて行ったり、植物園巡りに行かなくてよかったです。今回の旅の友の本は、読もうと思ってなかなか読めてなかった小説『SOSのさる』伊坂幸太郎です。電話ボックスの中で時々外を見たり、天気図を確認しながら読み續けていました。漫画『SARU』五十嵐大介と対になっているそうです。ようやくどちらも読みました。
『
「あの時?」
「眞人が急に、『雁子さんたちは何のために歌っているんですか』と言ってきた時があったじゃねえか。」
「あったね。あれはどういうわけか、ちょっと喧嘩腰だったよね。」雁子さんはにっと笑い、お猪口に口をつけた。
その時の眞人君は「歌っていうのは自己満足ではないんですか?人を救うんですか?」質問とはいいがたい口調で言ったらしい。「そんなことで人が助けられるなら、簡単じゃないですか。いじめられている子供とか、殴られてる女の人を救ってあげてくださいよ。ほら、今、歌って」
雁子さんと他のメンバーは顔を見合わせ、何と答えるべきか悩んだ。そして、ほどなく雁子さんは首を傾げ、夜空に目を向けた。「あのね、あの空のずっと向こう、宇宙のほうにね、あるんだよ。」
「何がですか」眞人君が尋ねる。
「何かだよ。大事な石みたいなものだよ。目に見えない、石」
「隕石じゃなくて?」
「それでもいいよ」雁子さんは歯を見せた。「で、私たちが歌をね、このメロディを発すると、あそこの石が、聴いている相手に落ちてくるわけ」
眞人君は当然、「意味が分かりません」ときょとんとし、雁子さんは豪快に笑う。「わかんなくてもいいけど、とにかく、わたしたちは、聴いてる人に自分たちの歌を届けようとは思ってないわけ。ましてやメッセージを押し付けようとも思わないし、絵描きの絵とかも一緒じゃない?テーマとか意味とか質問するのに意味はないのよ。かといって伝えたいことがないわけじゃなくてね。隕石としか言いようがないけど。わたしたちの歌は、空からでっかい石を運んでくるわけ。聴いている人の胸にその隕石をぶつけるの。」
眞人君は、雁子さんから説明を受けても首を捻るだけだった。「歌が隕石を落とすって、どういう理屈なんですか」と言って、これからは雁子さんたちのことを星の星団と呼ぼう、と茶化した。
「隕石っていうのは、『遠くから降ってくる大事な感覚』のたとえだよ。」
「大事な感覚って何ですか。感覚とか気持ちっていうのは実態がないじゃないですか」---
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「でも、その、隕石を落とす、ってたとえはどういう意味なんですか?」
「二郎真君もわからないわけね。」
「わかりませんよ」
「音楽に限らずね、どんなものでもそうだよ。映画でも小説でも。絵画なんて最たるものだよ。ゴッホのひまわりを見て、『ゴッホはひまわりを描きたかったのだ』なんていったりしないでしょ。描くものは何でもいいのよ。」
「でも、隕石を落とすために描いたわけでもないとおもいますよ」
「いや、隕石だね」雁子さんはきっぱりと言い切り、「昔、フランスに旅行に行ったときに、イレーヌって子とあったんだけど」と続ける。「私たちの歌を聴いて、こういったんだ。『音楽は最初の一滴。それが波紋をつくる。波紋が波紋を生んでいく。やがて、大きな波となる。波は大気を揺らし、星を覆い』とね」
「詩ですね、それは」
「『そして、目に見えぬ、約束に届く。』って。なかなかいいだろ。まあ、歌なんでその通りで、目に見えない何かに繋がるためのものだよ。眞人君に話したら、興味あるのかないのか分からない顔で聞いてたけど。今度、二郎真君、眞人とそういう話もしてきてよ。」』
それで、後からライブを聞き終わったときに、この本のこの個所と繋がっているようだと思いました。時間が来て、バスに乗ります。降りる頃には雨は上がりました。宿に行きます。宿泊するところを探していた時、通常駅までの臨時送迎バスが出るようなのに、今回はなかなか情報が出ずに、徳島駅の近くに予約したかったのですが、予定が立てにくいのでバスに乗らなくても大丈夫な、会場の近くではないが、歩いていけないわけでもないという距離の宿に予約しなおすと、ようやくバスの情報が発表されていました。
近所のスーパーで商品を見ます。地元では売ってない商品などを見るのが面白いです。
歩いて、会場に行きます。ちらほら歩いている人に遭遇して、海辺の会場へ着きます。開演までには余裕があります。席はステージから離れていましたが、見やすい位置で、途中前方から中央付近に別に設置されたステージに移動して歌っていた時は随分近くに感じました。『万歳千唱』を観客も一緒に全体で歌っときには、良質なミュージカルの感動的なシーンのようで、聴いているだけではわからない違うものに変わるのだなと思いました。映画館でも見たけれど、この前テレビで放送された『ボヘミアンラプソディ』で会場全体が一緒に歌っているシーンも、この時のようなエネルギーが生まれていたのかなと思いました。ライブ後にサイン入りTシャツが当たった人に写真を撮らせてもらったりして、会場を後にします。大勢の人の流れのなか、歩いていると「ああ、早く帰ってベンベンしたい。」と語っている女の子がいて、バンドをしてるのかなと思ったけど、そういう気持ちになる演奏だったんだろうと思います。
セットリスト
1.Anti Anti overture 2.tazuna 3.NEVER EVER ENDER 4.ギミギミック 5.カタルシスト 6.万歳千唱 7.IIU 8.そっけない 9.洗脳 10.PAPALAZZI 11.謎謎 12.I Novel 13.おしゃかしゃま 14.HOCUSPOCUS 15.ブレス 16.IKIJIBIKI 17.君と羊と青 18.いいんですか? 19.愛にできることはまだあるかい
アンコール
20.正解21.前前前世