朧月夜と春の海

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『鹿男あをによし』

平成22年4月10日   著者 万城目学    幻冬舎文庫

『大学の研究室を追われた二十八歳の「おれ」。失意の彼は教授の勧めに従って奈良の女子高に赴任する。ほんの気休めのはずだった。英気を養って研究室に戻るはずだった。渋みをきかせた中年男の声が鹿が話しかけてくるまでは。「さあ、神無月だ―出番だよ、先生」。彼に下された謎の指令とは?古都を舞台に展開する前代未聞の救国ストーリー。』

 この本が届いて、袋から取り出して帯を見た時、「児玉 清」の解説で、なんだか、霊界通信みたいだと思った。私が勝手にそう思っているだけだけれど、困ったお人だねえと、思いながらも気にかけてくれているような気がしてお盆も近いことだし、ちょっと行ってみるかと思ったのか、そんな気がした。(お盆前頃に届いたので。)

なんだか『坊ちゃん』の世界と似た空気があるなと思ったら、本の中でも、やっぱり坊ちゃんの話が出てきたり、先生、印が結局外れずに、奈良のマスコットになったのですか?とか、CMタレントになったんですかと、質問してみたかったりします。

私が、2010年秋頃、貴船に行ったとき、鹿が出てきて、しばらくずっとこっちを見ていて、写真も撮ったんだけれど、機械の性能がいまいちだから、アップでうまく撮れてなくて、でも、かえって写った写真が光輝いた写真にとれていて神々しい感じになっていたのを思い出した。このときは、ほかにも不思議といえばいえることがあって鞍馬の神社の前で、特に何も感じないなあと思いながらぼーとしていた後、立ち上がって細い道に入ったら、蛇が表れて横切って行った。怖い感じではなくて、どちらもあいさつに来てくれた感じでした。あとは、ぼーとしてて、翌日行くつもりだったけれど、バスを乗り間違えて、白峰神社で降りて乗り換えて、呼ばれたかなあと思ったりしました。奈良や京都は、不思議があっても、当然のような、いろんな次元が色濃く重なっているような、当たり前な気もします。

 時代を貫いて、卑弥呼が現代のこちらをじっと見つめているような気がして、これからどうなるのか白い服を身にまとった女の人が、身じろぎもせず立っていて、鹿や狐や、鼠が寄り添っていて彼らに託したものを、人間が守れなかったような、危ういバランスの上で、これからの行く末をじっと見ているような気がします。