2020/3/16~3/31
3/16 ふわふわの小さな雲の花ゆすら
3/17 寒暖の間で揺れる雪柳
3/18 そういえば綿のような春の雲
3/19 道の先赤い特大春夕焼
3/20 お彼岸の民家の増える墓参り
3/21 今日からは少し厚着で春コート
3/22 春めきて古本整理一箱分
3/23 火に油注いで起きる雪崩かな
3/24 春憂いどもまでいってもこりゃねぎだ
3/25 焼き芋をアルミから出し聞く延期
3/26 仲春や休日待機テレビ前
3/27 芽あじさい一度だけ花つけた鉢
3/28 書き留める風説の流布春の塵
3/29 春の空何度目になる買い直し
3/30 消費税予想を超えて三月尽
3/31 お遍路さん初花の門くぐりゆく
2020/1/16~1/31
1/16 冷凍庫出された干し柿冬の夕
1/17 白い星空き地を埋める野水仙
1/18 何度目の当落確認寒の内
1/19 来月の予定大波続く冬
1/20 大寒や落ちこみ誘う気のゆるみ
1/21 星冴ゆる国境超えて響く歌
1/22 切干や前より細く切られたり
1/23 裏側の大火事つながる暖冬
1/24 湯たんぽの水コポコポと夜が更ける
1/25 錆びついた文法リスト入れる本
1/26 柑橘の姿をかえて巡る味
1/27 ニョロニョロの集まりそうな春の雷
1/28 はね散ってじっとみつめる冬の昼
1/29 生の気配無機質な枝芽吹く
1/30 三寒の新型肺炎日々迫る
1/31 使い捨てマスクの在庫気にかかる
2019/12/17~12/31
12/17 冬の霧ぼんやりの5億現実に
12/18 重ね着で番組を待つ夜更かな
12/19 クリスマス近づき広げる市内地図
12/20 悴みて変色気づく足の爪
12/21 思いがけず手に取るゆずゆなごむ
12/22 雨上り取りに出て頭上オリオンン座
12/23 霜の声空回りする車輪みる
12/24 慌ただし製菓に紛れ押し出され
12/25 ラメつけて樹氷模す枝りんご吊る
12/26 寒の雨恐る恐るの傷カバー
12/27 すす払い目にして気づかぬ物の出る
12/28 数え日の実感なく晴れ急ぐ道
12/29 賀状書く干支のほかもカラフルな
12/30 ほぼ自家製くちなしの実も取ってくる
12/31 二回目の年越しそば歌番組
2019/12/1~12/15
12/1 催しの列かき分けて冬ぬくし
12/2 白と赤特別になる冬苺
12/3 レベル1で努力追いかける師走
12/4 緑茶入れ湯飲みをつつむ寒さかな
12/5 ふくらすずめ並び不動の金の柵
12/6 湯気越しのイルミネーション冬めける
12/7 カーペット座り視聴のライブかな
12/8 箱のまま時止めて飾る小六月
12/9 めんどがり下に埋もれるひび薬
12/10 筋になり足を速める冬の夕
12/11 todoの先送り続く年の内
12/12 クリスマスギフト会う復刻絵本
12/13 クルクルと今年の漢字占となる
12/14 マフラー巻き直すスマホ青光り
12/15 鎮まったスノードームのような空
12/16 蜜柑剥き皮も集めて風晒す
2019/11/16~11/30
11/16 小春日のイベント渋滞どこまでも
11/17 冬うらら記憶重ねる三回忌
11/18 ストーブの炎がついて猫がいる
11/19 レンチンの銀杏取り出す翡翠かな
11/20 日短や気温と夕日落ちていく
11/21 身にしむやほぐされようと戸を叩く
11/22 手袋の神出鬼没の激しさ
11/23 鶺鴒ののんびり歩く車窓前
11/24 核なき世界静聴する人時雨つつ
11/25 妙なるか中途半端か薄紅葉
11/26 遠くまで見通せる山もみいづる
11/27 スクリーン自由自在の六花
11/28 落選の確認続く冬の暮
11/29 日が沈む畑の隅の黄金草
11/30 やわらかい色でほころぶ冬の薔薇
2019/11/1~11/15
11/1 申込み場所決めかねる星月夜
11/2 道避けて畔に残る草の花
11/3 今日までのまなざし残る美術展
11/4 新生姜健康食品薄紅に
11/5 校舎窓万遍なく朱秋夕焼
11/6 片隅の余る小菊も先続く
11/7 電子マネーおそれ距離置く空高し
11/8 周辺の光を束ね石蕗の花
11/9 土根性三本揺れる花芒
11/10 11月祝賀パレード晴れた空
11/11 雨具置き明るい空の冬の月
11/12 下に着こむ現代版の皮衣
11/13 冬灯し鼻にできもの湯につかる
11/14 まだ明るい気になる確認冬浅し
11/15 診察券浅瀬まぶしい秋の水
2019/10/16~10/31
10/16 破れ蓮ど忘れして時間過ぐ
10/17 容量の目盛りはどこか夜食とる
10/18 秋霖やまとまらぬまま準備する
10/19 秋の浪アンテナ気にして検索
10/20 秋気澄むお堀に映る長い列
10/21 金木犀色あせて待つ旅の道
10/22 秋燈十二単の髪飾り
10/23 晩秋やあたりまえにあるカボチャ型
10/24 柚子坊を見たと聞く場所立ち止まる
10/25 秋遍路雨の木陰すれ違う
10/26 今年も遅い金木犀の香かすかに
10/27 盛るだけでカラフルになる秋果実
10/28 秋晴るるかつて通い慣れた路地
10/29 曇り空取ってしまう朝顔の実
10/30 姿消す三毛猫の行方秋暮るる
10/31 秋の果途方に暮れる首里の火事